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無期転換ルールでの無期転換申込権を行使したのは、対象者の3割以下

 表題のデータは、「令和2年有期労働契約に関する実態調査(事業所調査)」(厚生労働省実施)からのもので、この調査では、有期契約労働者や、無期転換ルールにより転換した後の無期契約労働者の状況について、令和2年4月1日現在で5,562件の有効回答を得ています。
 ここでは、主に有期契約労働者の状況を見ていきます。

   

有期契約労働者の雇用状況】

 有期契約労働者を雇用している事業所は4割(41.7%)で、常用している従業員に対する人数比は2割(22.4%)です。
 業務のタイプで見ると、軽易な業務に従事する者が6割超(64.1%)、正社員と同様の業務に従事する者が2割(19.1%)となっています。

   

無期転換ルールによる無期転換申込権の行使状況

 ここでいう「無期転換ルール」とは、有期労働契約の更新により通算契約期間が5年を超える場合に、有期契約労働者から使用者への申込みにより無期転換させる仕組みで、平成25年4月1日以降に締結された有期労働契約を対象とします。

 過去2年間(平成30・31年度)で「無期転換ルールによる無期転換を申込む権利が生じた者」のうち、3人に2人(65.5%)が無期転換を申込む権利を行使せず継続して雇用されています。
 無期契約への転換権を行使した者は3割に届かない状況(27.8%)でしたが、無期転換後の社員区分は、「無期転換社員」が9割(89.4%)で、そのうちほぼ9割(87.3%)が業務量や賃金等の労働条件がともに変化なしでした。

   

【契 約 更 新】

 1回当たりの契約期間は、半数以上の企業(55.9%)で「6か月超~1年以内」であり、「3か月超~1年以内」まで広げると7割(72.1%)になります。

 勤続年数の上限を設定している企業は1割台(14.2%)に止まっていますが、実際の勤続年数(該当する労働者が最も多い年数)は、「3年超~5年以内」(29.2%)、「1年超~3年以内」(22.0%)、「5年超~10年以内」(20.4%)、「10年超」(13.4%)の順となっています。

 回数の上限設定をしている企業も1割(11.0%)であり、実際の契約更新回数(該当する労働者が最も多い回数)は、多いものから順に「3~5回」(36.4%)、「6~10回」(20.4%)、「11回以上」(16.8%)となっており、契約更新を重ねてできるだけ長く雇用したいという企業が一定数あることが分かります。

 契約更新の形態については、
 〇 更新の都度、契約期間等について詳しく説明を行った上で、労働者の署名又は記名押印を

   求めている 55.8%
 〇 更新の都度、労働者の署名又は記名押印を求めているが、詳しい説明は行っていない 15.7%
 〇 自動的に更新している 14.1%
となっています。

 なお、この項目の回答はその企業にとって最も重要と考える有期雇用労働者の「職務タイプ」についてものです。
 「職務タイプ」とはこの調査独自のもので、正社員と同様の職務を行う「正社員同様職務型」、正社員よりも高度な内容の職務を行う「高度技能活用型」、正社員よりも軽易な職務を行う「軽易職務型」など5つのタイプが設定されています。
  

【雇 止 め】

 過去2年間(平成30・31年度)に雇止めを行ったことがある企業は1割(10.7%)であり、
 その理由については複数回答で、
 〇 更新上限を設定していたため 28.4%
 〇 労働者の勤務態度の不良のため 24.9%
 〇 業務量の減少のため 22.0%
でしたが、業種別に他より目立って多い理由を見ると、建設業での更新上限の設定(75.4%)、プロジェクト等の終了(65.5%)、医療、福祉での勤務態度不良(54.0%)、卸売業、小売業での業務量の減少(45.1%)などがあります。

 雇止めに先立つ手続き(複数回答)は、契約を更新しない旨を口頭で伝えた(56.9%)が書面で伝えた(40.6%)を大きく上回っています。雇止めする労働者との個別は半数の企業(54.0%)が行っていました。

   

今後の有期契約労働者の活用方針】

 ほぼ2社に1社が「現状を維持する」であり、「積極的に活用する」は1割程度(11.6%)にとどまりましたが、従業員1,000人以上の企業では26.1%と有期契約労働者の活用意欲が強くなっています。