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障害者の法定雇用率制度

障害者について、一般の労働者と同じ形で働く機会を確保するための仕組みの一つが「障害者雇用率制度」です。
民間企業や官公庁といった区分ごとに法定雇用率を定めて、その達成を義務付けるこの制度は、1960年に始まった古い制度で、民間企業での達成義務化や7回の雇用率引き上げを経て、昨年3月から現在の率になっています。
・民間企業 2.3%
・国、地方公共団体等 2.6%
・都道府県等の教育委員会 2.5%
民間企業の場合、従業員43.5人以上の企業(※)が雇用率達成の義務を課せられます。
(※)短時間労働者は、原則、1人を0.5人としてカウントするため。
昨年の民間企業の実績は、雇用障害者数が60万人(597,786人)、実雇用率が2.2%でともに過去最高を更新しました。
法定雇用率達成企業の割合は47.0%で、前年から1.6 %下がっています。
また、未達成企業の約6割が、障害者を1人も雇用していない企業(0人雇用企業)となっています。
(データはいずれも「令和3年障害者雇用状況」(厚生労働省)による)
法定雇用率未達成の場合のペナルティとして、従業員101人以上の企業からは、不足1人につき月額5万円の障害者雇用納付金が徴収されます。
また、未達成企業で次のいずれかに該当する企業は、公共職業安定所長からの「雇入れ計画作成命令」の対象となります。
・実雇用率が全国平均実雇用率未満であり、かつ不足数が5人以上
・実雇用率に関係なく、不足数10人以上
・雇用義務数が3人から4人の企業(労働者数130.5人~174人規模企業)であって雇用障害者数0人
計画期間(2年間)の改善状況が特に悪く、その後の特別指導でも改善が見られない場合には、その企業名が公表されます。
ちなみに、昨年は6社が公表され、過去には再公表された企業もあります。
そのような企業とは逆に、法定雇用率を超えた雇用をしている企業などに対しては、納付金を財源とした調整金、報奨金などがあります。
・従業員101人以上で法定雇用率以上の障害者雇用をしている企業(事業主)
……障害者雇用調整金(雇用超過1人当たり月額27,000円)
・従業員100人以下で雇用する障害害が一定数を超えている企業(事業主)
……報奨金(基準超過1人当たり月額21,000円)
・在宅就業障害者に仕事を発注した納付金申告事業主
…… 在宅就業障害者特例調整金
・在宅就業障害者に仕事を発注した報奨金申請対象事業主
……在宅就業障害者特例報奨金
・特定短時間労働者を雇用する事業主
……特例給付金
これらのうち特例給付金での特定短時間労働者は、週の所定労働時間が10時間以上20時間未満の障害者のことです。
この給付金は、法定雇用率でカウントされる常用労働者(週所定30時間以上)や、短時間労働者(週所定20時間以上30時間未満)の働き方は難しいものの、短時間であれば就労可能な障害者の雇用機会を確保するための制度になっています。
今後の障害者雇用関連の国の施策については、法定雇用率制度や納付金制度の在り方も含めて労働政策審議会で検討中であり、今年5月以降にその結果のとりまとめが公表される予定です。