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改正育児・介護休業法での事業主の新たな義務(4月1日から)

 改正育児・介護休業法は3回に分けて施行されますが、そのうち今年4月1日施行分にあるのが、「雇用環境整備」と「個別の周知・意向確認」措置の実施についての事業主の新たな義務です。

育児休業を取得しやすい雇用環境の整備

 以下の4つの取組のうち、1つ以上実施する必要があります。

 〇 研修の実施
    対象は、全労働者が望ましいが、少なくとも管理職は、研修を受けたことがある状態にする。

 〇 相談体制の整備(相談窓口の設置)
    窓口を形式的に設けるだけでなく、実質的な対応が可能な形とする必要があります。
    加えて、周知などを行い、利用しやすい体制を整備します。

 〇 自社の育休取得事例の提供
    自社の育休取得事例を収集し、事例を掲載した書類の配付やイントラネットへの掲載等を行い、労働者
   が閲覧できるようにします。
   また、提供する事例を特定の性別や職種、雇用形態に偏らせず、可能な限り様々な労働者の事例を収集
   ・提供し、特定の者の育児休業の申し出を控えさせることに繋がらないように配慮します。

 〇 制度と育休取得促進に関する方針の周知
    育児休業に関する制度と育児休業の取得の促進に関する事業主の方針を記載したもの(ポスターなど)
   を事業所内やイントラネットへ掲載します。

  また、上記の雇用環境整備の取組については、社員の年齢構成など社内の状況にかかわらず、次の理由からすべての事業主が実施する必要があります。
  ・育児休業の申出対象となる子には、養子縁組等も含まれており、幅広い年齢の労働者が育児休業申出を
   行う可能性があること
  ・法律上、義務の対象となる事業主を限定していないこと
  

個別の周知・意向確認

 今年4月1日以降に妊娠・出産の申出をした労働者(本人・配偶者)に対しては、次の4つの事項すべてを伝えたうえで、育児休業申出についてその労働者の意向を確認する必要があります。
(今年10月1日以降は、出生時育児休業(産後パパ育休)もこの措置の対象となります。)

 〇 育児休業に関する制度
 〇 育児休業の申出先
 〇 育児休業給付に関すること
 〇 労働者が育児休業期間において負担すべき社会保険料の取扱い

 実施時期は、妊娠・出産の申出が出産予定日の1か月半以上前に行われた場合は、出産予定日の1か月前までに措置を行う必要があります。
 実務上は、申出どおりに休業を開始できるタイミング(育児休業1か月前、出生時育児休業2週間前)を念頭に置いて進めていくことになります。

 周知・意向確認の方法は、面談(オンライン可)、書面交付(郵送可)に加えて、対象となる労働者が希望する場合は、FAXや電子メールなどによることもできます。
 これらの方法のうち、面談をオンライン利用で行う場合には、音声のみの通話は不可とされています。また、電子メールなどを利用する場合には、その労働者が電子メール等の内容をすべて出力して書面を作成できるものに限られます。

 労働者が育児休業に関する制度等の周知や意向確認の措置が不要であると意思表示をした場合でも、事業主からの周知を行うことが求められています。
 労使協定で除外している入社1年未満の労働者、雇用契約の更新予定がない有期雇用労働者の場合は、意向確認措置を実施する必要はありませんが、それらの労働者にとって後に育児休業申出が可能になる可能性があるので、個別周知の措置のみを行うこととなります。

 なお、育児休業の意向確認の際に、「育児休業の取得の意向はない」と回答した労働者でも、後日、法に基づき育児休業の申出を行うことができ、事業主は適法な育児休業申出を拒むことはできない点には注意が必要です。