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賃金の消滅時効3年、実務上の影響は4月から

 賃金債権の消滅時効が2年から3年(当分の間)に延長されたのは、2年前(2020年)の4月です。
 それ以降に支払日が到来した賃金から消滅時効が3年に延長されているので、この4月から、時効延長の実務上の影響が出てきます。(発生後2年経過した賃金債権が出てくる可能性があるため)

 賃金と一口に言っても、労働基準法で関係してくる規定は8つあります。

〇 金品の返還(23条)
 労働者の退職または死亡の際の未払い賃金の支払い(金品の返還については、これまでどおり2年の消滅時効)

〇 賃金の支払(24条)
 賃金は、通貨で、直接労働者にその全額を、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うこと

〇 非常時払(25条)
 労働者が出産、疾病、災害等の非常時の費用に充てるために請求したときに、すでに勤務した日の賃金で支払日前のものを支払うこと

〇 休業手当(26条)
 使用者の責に帰すべき事由で休業させた場合に支払う、平均賃金の100分の60以上の額の手当

〇 出来高払制の保障給(27条)
 出来高払制その他の請負制により働く者について、出来高等が少ない場合でも労働時間に応じて一定額の賃金を支払うこと

〇 時間外・休日労働等に対する割増賃金(37条)
 法定労働時間を超えて行った労働、法定休日や深夜に行った労働の時間数に応じて支払う割増賃金

〇 年次有給休暇中の賃金(39条9項)
 年次有給休暇を取得した日または時間に応じてあらかじめ定めた賃金(所定労働時間勤務時の賃金など)を支払うか、賃金計算上勤務したものとみなすこと

〇 未成年者の賃金(59条)

 未成年者は独立して賃金を請求する権利を持ち、親権者または後見人が代理で受領するのは認められないこと

 また、裁判所が支払いを命じる「付加金」(114条)についても、2年から3年(当分の間)に延長されています。
 付加金は、休業手当、時間外労働等の割増賃金などの支払義務違反(未払い)に対して、裁判所が使用者にその未払額と同一額の支払いを命じることができるものです。

 この他には、退職手当の請求権は、従来から5年であり、災害補償請求権は、早期の救済措置の必要から引き続き2年としています。

 現在の賃金債権、付加金の消滅時効は、法律上では、民法での契約上の消滅時効に合わせて原則5年に延長したうえで、直ちに5年とすることによる影響などを考慮して、当分の間は3年としているものです。
 賃金台帳や労働者名簿などの記録の保存義務は、従来から3年でしたが、これらについても原則5年、当分の間3年とされました。
 現行の規定については、法律の改正(2020年4月)から5年後に見直しを行うこととなっています。