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いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項

今月7日付の標題のペーパーとリーフレット(使用者向け、労働者向け)が
厚生労働本省サイトで公開されています。
留意事項のペーパーでは、
〇 労働契約の締結時に明示すべき労働条件
〇 就業規則に規定すべき事項
〇 労働契約に定めることが考えられる事項
〇 労働者を実際に労働されるに当たっての労働時間等の扱い
といった項目を中心に、関係法令を挙げて説明し、シフト制で留意すべき点を明らかにしています。
この投稿では、このペーパーの中で、特にシフト制に着目した留意事項を見ていきます。
【労働契約の締結時に明示すべき労働条件】
労働契約締結時に書面で労働者に明示することが法律で定められている労働条件のうち、特に問題になりやすい「始業および終業の時刻」「休日」について、次のような留意事項を示しています。
〇 労働条件通知書など(※)で「始業及び就業の時刻」を明示するとき、単に「シフトによる」とするだけ
では足りず、
・書面に労働日ごとの始業及び終業時刻を明記する
・書面に原則的な始業及び終業時刻を記載した上で、一定期間のシフト表などを明示の書面とあわせて
労働者に渡す
などの対応が必要であること。
〇 「休日」について、労働契約の締結時に、
・休日が定まっている場合は、明示しなければならない
・具体的な曜日などが確定していない場合は、休日の設定に関する基本的な考え方を明示しなければ
ならない
(※) 労働者に交付する書面の様式は自由ですが、厚生労働省がモデル労働条件通知書としてひな形を
公開しています。
また、その労働者に適用する部分を明確にして就業規則を渡す対応も可能です。
【就業規則に規定すべき事項】
シフト制労働者の始業及び終業の時刻や休日について、就業規則上「個別の労働契約による」、「シフトによる」といった記載をするだけでは、就業規則の作成義務(※)を果たしたことにならないこと。
ただし、基本となる始業及び終業の時刻や休日を記載した上で、「具体的には個別の労働契約で定める」、「具体的にはシフトによる」といった記載とするのは差し支えないこと。
(※) 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成して、過半数組合もしくは過半数代表者
の意見書を添附して労働基準監督署に届け出なければならないこと。
【労働契約に定めることが考えられる事項】
シフトの作成手続きについて、使用者による一方的な決定は望ましくなく、例えば、使用者と労働者で話し合って、次のようなルールをあらかじめ定めておくことが考えられる。
・ シフト表などの作成に当たり、事前に労働者の意見を聴取すること
・ 確定したシフト表などを労働者に通知する期限や方法
いったん確定したシフトの変更は、労働条件の変更に該当する。
そのため、シフトの変更手続きについて、例えば、使用者と労働者で話し合って、次のようなルールを設けることを合意しておくことが考えられる。
・シフトの期間開始前に、確定したシフト表などにおける労働日、労働時間等の変更を使用者又は
労働者が申し出る場合の期限や手続
・シフトの期間開始後に、使用者又は労働者の都合で、確定したシフト表などにおける労働日、
労働時間等を変更する場合の期限や手続
【労働日、労働時間などの設定に関する基本的な考え方】
例えば、労働者の希望に応じて次のような事項について、あらかじめ使用者と労働者で話し合って合意しておくことが考えられる。
・一定の期間において、労働する可能性がある最大の日数、時間数、時間帯
(例:「毎週月、水、金曜日から勤務する日をシフトで指定する」など)
・一定の期間において、目安となる労働日数、労働時間数
(例:「1か月○日程度勤務」、「1週間当たり平均○時間勤務」など)
これらに併せるなどして、一定の期間において最低限労働する日数、時間数などについて定める
ことも考えられます。
(例:「1か月○日以上勤務」、「少なくとも毎週月曜日はシフトに入る」など)
今回のペーパーでは、ここで触れた以外に労働時間、休憩、年次有給休暇及び休業の取り扱い、労働契約の終了や社会保険、労働保険などを網羅していますので、シフト制を活用しているのであれば、一度目を通すことをおすすめします。