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在宅勤務と労働時間制

 在宅勤務を取り入れている企業ではどの労働時間制が多くなっているのか?

 昨年(2020年)の夏から秋にかけての調査(複数回答)ですが、
 〇 通常の労働時間制度    82.7%
 〇 変形労働時間制      47.2%
 〇 フレックスタイム制    34.3%
 〇 事業場外みなし労働時間制 16.5%
 〇 専門業務型裁量労働制   11.8%
 〇 企画業務型裁量労働制    4.5%
という結果でした。

 同じ年度の就労条件総合調査(在宅勤務の有無は問わない調査)では、フレックスタイム制が 6.1%(最も多い規模1,000人以上に限っても28.7%)でしたので、在宅勤務の導入企業では、フレックスタイム制の導入が進む傾向があるようです。

 フレックスタイム制には、通勤時間の節約と心身の負担軽減、リラックスした空間で仕事ができる、勤務者が柔軟な働き方ができるといったメリットがありますが、在宅勤務もフレックスも未導入の状態から始めるのであれば、最初からフレックスにこだわる必要はないと考えます。

 在宅勤務を導入して慣れるまではどうしても残業が多くなりがちですから、導入時は通常の労働時間制度のみとしてオフィス勤務時と同様の管理を行い、一定の期間をおいて、導入初期の様々な不具合が解消して、勤務時間と成果の質量のバランスがオフィス勤務時に近くなったところで、フレックスを導入するのがより現実的な対応でしょう。


 先の調査の結果では、在宅勤務での深夜労働、休日勤務は原則禁止が、いずれも5割程度でした。許可制とする場合は、事前の許可と終業時のメール報告を組み合わせた対応が必要と考えられます。

 事業場外みなし労働時間制は、在宅勤務者の柔軟な働き方を可能にする制度であり、厚生労働省のテレワークガイドラインでは、在宅勤務に適用するときの要件を2つ挙げています。

 ① 情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと
 ② 随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと

 これだけだとイメージしずらいところもありますが、解釈事例が示されています。
 在宅勤務者が業務をする上で迷ったり、なし崩し的な運用になることがないように、実際の業務でのケースを想定した運用を明文化して事前に共有しておくことが必要になります。
 また、みなし時間に見合った質量の業務配分を維持していくための管理者、上司の役割も重要です。

 在宅勤務での労働時間の把握は、使用者などによる現認は困難ですから、ガイドライン(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン)の原則では、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録といった客観的な記録をベースにして確認を行い、自己申告制はやむを得ないときに行うものという位置づけになります。

   ※ 労働安全衛生法上の「労働時間の状況の把握」は、労働基準法上の「労働時間の把握」とは異なり、

     事業場外労働のみなし労働時間制の適用者、裁量労働制の適用者、管理監督者等も対象となります。

 しかし、先の調査の結果では、在宅勤務実施企業でも、「電子ファイルの出勤簿等に自己申告で記入する」がパソコンのログ取得やWeb打刻を上回っています。
 自己申告制は、実際の労働時間と合致しているか否について、必要に応じて実態調査を実施することが求められるなど労務管理上の手間がかかる方法でもあります。
 また、在宅勤務での中抜けを認めているのであれば勤務者側でも取り扱いに煩雑さを感じるものです。

 労務管理自体も、働き方改革でやるべきこと、配慮するべきことが増えていますので、「出勤簿+自己申告」は、ICカードやWeb打刻などに置き換える時期に来ていると考えられます。

   ※ この投稿での「調査」は、「令和2年度テレワークの労務管理に関する総合的実態調査研究事業」

     (三菱UFJリサーチ&コンサルティング/厚生労働省委託事業)です。