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事業再構築補助金の公募要領(第1回)の公表について(3/26)
事業再構築補助金は、令和2年度第3次補正予算による新たな補助金で、中小企業の新分野展開、業態転換、事業・業種転換等、事業再編といった取り組みや、それらによる企業規模の拡大への挑戦を支援するものです。
3月17日の事業再構築指針と手引きの公表に引き続き、3月26日に公募が開始されました。
第1回目の公募日程は、以下のとおりです。この先、令和3年度内に4回の公募が予定されています。
公募開始: 3月26日 (金)
申請受付: 4月15日 (木) 予定
応募締切: 4月30日 (金) 18:00
なお、この補助事業を実施する事務局は、株式会社パソナです。
◆ 補助枠(区分)/対象企業・要件/補助内容
この補助金には、次の5つの枠(補助金のコース)が設けられています。このうち、緊急事態宣言特別枠については、通常枠より迅速な審査・採択が行われ、仮に不採択となった場合でも通常枠での再審査を受けることができます。
・中小企業者等向け通常枠、卒業枠
・中堅企業等向け通常枠、グローバルV字回復枠
・緊急事態宣言特別枠(中小企業等、中堅企業等ともに対象)
各枠の要件、補助額、補助率などを下表にまとめています。
・緊急事態宣言特別枠の対象となった会社又は個人については、①通常枠申請の際の加点措置、
②緊急事態宣言特別枠で不採択となった場合の通常枠での再審査が行われる。
■ 中小企業者の範囲
その範囲は、業種ごとに次表の資本金、従業員数要件のいずれかを満たす会社及び個人です。
ですから、個人事業者もこの補助金の対象となります。
いわゆる「みなし法人」(大企業の子会社、大規模法人の支配下にある法人など)は、この補助金で
の支援の対象外となります。(みなし法人の詳細な要件は、次々項で列挙)
■ 中堅企業の範囲
上表の中小企業の範囲に入らない企業のうち、資本金10億円未満の法人です。
上表の中小企業の範囲にある会社であっても、申告済みの過去3年(事業年度)の課税所得の
平均額が15億円超のときは、中堅企業として支援の対象となります。
■ いわゆる「みなし法人」に該当するもの
次の①~⑤のいずれかに該当するものが、大企業とみなされます。
① 同一の大企業が、発行済株式の総額(または出資価格の総額)の2分の1以上を所有
② 大企業が、発行済株式の総額(または出資価格の総額)の3分の2以上を所有
③ 大企業の役員または職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占める
④ ①~③に該当する中小企業者が、発行済株式の総額(または出資価格の総額)の総額を所有
⑤ ①~③に該当する中小企業者の役員または職員を兼ねている者が、役員総数のすべてを占める
■ 中小企業者等、中堅企業等の「等」について
次の①~③のいずれかに該当するものを指しています。
① 中小企業等経営強化法第2条第1項から第8号に定める法人
企業組合、協業組合、事業協同組合など
② 法人税法別表第二に該当する法人
③ 法人税法以外の法律により公益法人等とみなされる法人
収益事業を行う等の要件を満たすNPO法人
■ 資本金の額が定められていない場合の取り扱い
常勤の従業員数が、300人以下は中小企業者等、300人超2,000人以下は中堅企業等とされる。
■ 上表の対象企業要件①の売上高比較について
①申請前の6か月のうち任意の3か月の売上高合計
②2019年1~3月の合計売上高、2020年1~3月の合計売上高のいずれか
を比較して、①が②より10%(※)以上減少していれば、申請要件を満たします。
(※) グローバルⅤ字回復枠は15%に読み替え。
以下に、図解しています。
注)災害等の影響で2019年の売上が減少している場合に限って、2018年1~3月との比較が可能。
■ この補助金での付加価値額
付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費
この補助金の事業計画は、補助事業終了後3~5年で付加価値額(または従業員1人当たりの付加
価値額)の年平均3%増(※)を達成できるものとする必要があります。
(※) グローバルⅤ字回復枠は5%に読み替え。
◆ 補助対象経費
2月15日の概要で、「本補助金は、基本的に設備投資をするもの」と明記されています。設備投資をするものですから、資産性のない経費が設備投資にかかる経費を上回る事業計画は策定できないということです。
次の表は、公募要領によるものです。
■ 各経費区分での注意点の例
・建物撤去、賃貸物件等の原状回復経費は、建物の建設・改修経費とのセットでのみ計上できる。
・リース・レンタル経費は、当該補助事業実施期間分のみ按分計算して計上できる。
・次の経費は、専門家経費の補助対象外です。
応募申請時の認定経営革新等支援機関等に対する経費
事業計画の作成を支援した外部支援者に対する経費
・クラウドサービス利用料は、自社の他事業と共有する場合は補助対象外です。
専ら補助事業のために利用するものは、当該補助事業実施期間分のみ按分計算して計上できる。
・広告宣伝・販売促進費は、補助期間内の広告使用や掲載、展示会開催に係るものが計上できる。
補助事業以外の製品やサービス、会社全体のPR広告に係るものは、補助対象外です。
・研修費は、補助事業の遂行に必要な教育訓練や講座受講等に係るものが計上できる。
研修受講以外の経費(入学金、交通費、滞在費など)は、補助対象外です。
■単価50万円(税抜)以上の物件等について
原則として同一条件による相見積もりを取ることが必要
◆ 事業計画
事業計画書の作成は、認定経営革新等支援機関と相談しながら行うこととされており、補助金3,000万円超えるものは、金融機関も加えて作成する必要があります。
事業計画書の具体的内容については、審査項目を熟読の上作成することとされていますが、公募要領に掲載されているのは、4つの審査項目(対象事業としての適格性、事業化点、再構築点、政策点)と2つの加点項目です。
また、以下の4つの項目について、A4・15ページ以内で作成するよう要請されています。
① 補助事業の具体的取り組み内容
② 将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)
③ 本事業で取得する主な資産
④ 収益計画
■ 不採択または交付取消となる事業計画
公募要領では、12のケースが挙げられていますが、公募要領にそぐわない事業、重複案件、暴力 団員との関係といったもの以外には、例えば、次のようなものがあります。
・具体的な事業再構築の実施の大半を他社に外注または委託し、企画だけを行う事業
・もっぱら資産運用的性格の強い事業
・建築または購入した施設・設備を自ら占有し、事業の用に供することなく、特定の第三者に
長期間賃貸させるような事業
・主として従業員の解雇を通じて付加価値額要件を達成させるような事業
◆ 事前着手制度/概算払
事前着手制度は、「交付決定後の補助事業着手(購入契約の締結など)という原則」の例外です。
この補助金では、補助金の交付決定前でも、事務局に事前着手届を提出して承認を受けた場合に限り、令和3年2月15日以降の購入契約や発注などを、申請の際に補助対象経費に含めることができます。ただし、事前着手の承認は採択を保証するものではありませんし、契約にあたって入札や相見積が必要となる場合があることにも注意が必要です。
事前着手届の受付開始は、令和3年3月26日で、提出方法は事務局にメールでとなっています。
この補助金では、概算払制度が設けられる予定です。
補助金の支払い(指定口座への振り込み)は、原則として事業完了後の実績報告に基づく確定検査と補助額の決定後に、事業実施者からの請求により行われます。概算払は、その例外として、補助事業実施期間中のある時点における、実施・支払済の経費の一定割合を事業実施者からの請求により先行して支払うものです。
◆ 申請とその方法について
申請は、事業者自身が行います。事業計画作成を支援した認定経営革新等支援機関などに申請を代行させることはできません。
この補助金を複数回申請することはできませんが、1つの申請(事業計画)に複数の事業を記載することは可能です。また、複数の事業者の取り組みを束ねて代表となる事業者が申請した場合の上限額は、一法人で申請した場合と同一です。
申請方法は、電子申請(jGrants利用)に一本化されます。
そのjGrants(Jグランツ)利用のためのアカウント(gBizIDプライムアカウント)の申請からアカウント発行までに3週間以上かかる状況となっていますので、早めのアカウント取得が推奨されています。
再構築指針とその手引きの公表が3月17日、公募開始が3月26日となったこともあって、第1回は、公募期間が3週間、受付期間が2週間とタイトな日程になっています。一般的な傾向として、同一年度に複数回公募を行う場合は、第1回の採択率が最も高くなることが多いですが、これから取り組まれるのであれば、実現可能性の高い事業計画とするため、第2回目以降の申請も視野に入ってくるもの考えられます。
【事業再構築指針とその手引きについては、別投稿を参照願います】